“布になる前の話。”
— 糸という、小さくて深い素材の世界。
「この服、なんかいいよね」
そんな感覚の根っこには、素材の力があります。
でも、“いい素材”の話って、もうこの糸の段階から始まってるんです。
服の素は、細い一本の“線”からできている。
コットンも、リネンも、ウールも、化繊も。
最初はみんな、一本の糸から始まります。
繊維を撚って、束ねて、ようやく糸になる。
そしてその糸の性格こそが、服の風合いや強さ、落ち感を決めるベースになっているんです。
番手とかデニールって、けっこう大事。
たとえば「番手」や「デニール」なんて言葉、
なんだか工業っぽく聞こえるかもしれません。
でもこれは、糸の“太さ”や“密度”を示す大事な情報。
- 番手(綿・麻など):数字が大きいほど細い糸
- デニール(ナイロン・ポリエステルなど):数字が大きいほど太く重い糸
つまり、見た目の繊細さや、手に持ったときの軽さは、
この数値である程度わかってしまうというわけです。

職撚り(より)って、気づかないけど性格が出る。
糸はただ“まっすぐ”じゃありません。
繊維をねじって撚ることで、強さを持たせたり、逆にふんわりさせたりできる。
- 甘撚り:やわらかくて空気を含みやすい
- 強撚:シャリっとした触感で肌離れがいい
この“ねじれ具合”が、肌ざわりにも服の表情にも、ちゃんと出てきます。
だからVIRI-DARI DESERTAでは、どんな糸をどう撚るかを、素材ごとに見直しているのです。
染めるタイミングも、糸で変わる。
ちなみに、糸を布にする前に**染めてしまう“先染め”**という方法もあります。
- 色ムラが出にくい
- 深みのある色合いになる
- 織りや編みで色柄の表現ができる
ただし工程は少し複雑で、色の変更も簡単ではありません。
そのぶん、素材の個性を活かした美しい表現ができるのが魅力です。
(※「染め」についてはVol.10で詳しく)

サステナブルな服づくりは、糸から始まっている。
糸の質が良ければ、生地にしても強い。
撚り方が適切なら、着心地も長持ちする。
過度な加工に頼らなくても、素材そのものの魅力で服が成立する。
それってつまり、
“素材に無理をさせない=サステナブル”ということでもあるんです。
長く着ても崩れない。
手を加えすぎず、ちゃんと気持ちいい。
そんな服は、実は“糸からやさしい”のかもしれません。
VIRI-DARI DESERTAが、糸から考える理由。
生地も、縫い糸も、ぜんぶ“糸”から始まります。
だから私たちは、どんな糸を選ぶかを大事にしています。
それが、長く着られる服、気持ちのいい服につながっていくと信じているからです。