SUSTAINABLE TEXTILE MAGAZINE – Vol.08

ストーリー

“布になる前の話。”

— 糸という、小さくて深い素材の世界。

「この服、なんかいいよね」
そんな感覚の根っこには、素材の力があります。
でも、“いい素材”の話って、もうこの糸の段階から始まってるんです。

服の素は、細い一本の“線”からできている。

コットンも、リネンも、ウールも、化繊も。
最初はみんな、一本の糸から始まります。
繊維を撚って、束ねて、ようやく糸になる。

そしてその糸の性格こそが、服の風合いや強さ、落ち感を決めるベースになっているんです。

番手とかデニールって、けっこう大事。

たとえば「番手」や「デニール」なんて言葉、
なんだか工業っぽく聞こえるかもしれません。
でもこれは、糸の“太さ”や“密度”を示す大事な情報。

  • 番手(綿・麻など):数字が大きいほど細い糸
  • デニール(ナイロン・ポリエステルなど):数字が大きいほど太く重い糸

つまり、見た目の繊細さや、手に持ったときの軽さは、
この数値である程度わかってしまうというわけです。

撚り(より)って、気づかないけど性格が出る。

糸はただ“まっすぐ”じゃありません。
繊維をねじって撚ることで、強さを持たせたり、逆にふんわりさせたりできる。

  • 甘撚り:やわらかくて空気を含みやすい
  • 強撚:シャリっとした触感で肌離れがいい

この“ねじれ具合”が、肌ざわりにも服の表情にも、ちゃんと出てきます。
だからVIRI-DARI DESERTAでは、どんな糸をどう撚るかを、素材ごとに見直しているのです。

染めるタイミングも、糸で変わる。
ちなみに、糸を布にする前に**染めてしまう“先染め”**という方法もあります。

  • 色ムラが出にくい
  • 深みのある色合いになる
  • 織りや編みで色柄の表現ができる

ただし工程は少し複雑で、色の変更も簡単ではありません。
そのぶん、素材の個性を活かした美しい表現ができるのが魅力です。
(※「染め」についてはVol.10で詳しく)


サステナブルな服づくりは、糸から始まっている。

糸の質が良ければ、生地にしても強い。
撚り方が適切なら、着心地も長持ちする。
過度な加工に頼らなくても、素材そのものの魅力で服が成立する

それってつまり、
素材に無理をさせない=サステナブル”ということでもあるんです。

長く着ても崩れない。
手を加えすぎず、ちゃんと気持ちいい。
そんな服は、実は“糸からやさしい”のかもしれません。

VIRI-DARI DESERTAが、糸から考える理由。

生地も、縫い糸も、ぜんぶ“糸”から始まります。
だから私たちは、どんな糸を選ぶかを大事にしています。
それが、長く着られる服、気持ちのいい服につながっていくと信じているからです。