SUSTAINABLE TEXTILE MAGAZINE – Vol.07

ストーリー

“服は、縫わなきゃ始まらない。”

— 縫製の話、ちゃんと向き合ってみる。

いい生地を選んで、
美しいパターンを引いて、
さて、じゃあこれで服ができるかというと――
できません。

最後に“仕立てる”という工程があって、
ようやく布は、ひとつの服としてかたちを整えます。

「縫うだけでしょ?」と言うには、もったいない仕事。

「縫製=ミシンでガーッと縫ってるだけ」と思ってる人、たぶん多い。
でも実際は、素材のクセと会話しながら、
ひと針ごとに“気持ちよさ”を仕込んでいく作業
です。

たとえば:

  • ガーゼのようなやわらかい生地には、巻き縫いや袋縫いで肌当たりを整える
  • カーブの多い箇所は、職人の手の感覚で微調整しながら縫い進める
  • 糸の引き具合ひとつで、洗濯後の形も変わってくる

見えないけど、けっこう繊細でかっこいい世界なんです。


いい縫製は、長持ちする。

毎日着る服だからこそ、
“きちんと縫われている”ことはサステナブルの基本です。

  • 着崩れにくい
  • 洗濯で型くずれしない
  • 直してまた着られる

こうした“服の寿命”を延ばす縫製は、大量消費とは真逆のものづくり
いい服を、長く着るために。
その縫い方ひとつに、未来がかかっていたりします。

職人の手でしかできないこと。

VIRI-DARI DESERTAでは、信頼する国内の縫製職人とともに服づくりをしています。
正直に言うと、海外生産よりコストはかかります。
でも、それでも続けたいのは、技術が、今、継承の危機にあるから。

今の縫製現場には若手が少なく、後継者不足も深刻です。
それでも私たちは、“人の手で縫われた服”の価値を信じています。

  • ほんの数ミリのズレを目で読み取る力
  • 糸と布の関係性を肌で感じること
  • 着たときの重さや肌ざわりまで想像して縫うこと

これらは、機械にはまだできません。
人が縫うことには、“受け継ぐ文化”という側面もあるのです。

縫うということは、続けるということ。
縫い目の裏に、
“積み重ねてきた時間”と“これからも続けたいものづくり”がある。


だから私たちは、縫製を大事にします。
それは、単なる作業じゃなくて、
服づくりの最後にして、もっとも静かな意思表示だから。

きちんと縫われている服は、ちゃんと残っていく。

それって、実は一番サステナブルなことかもしれません。

“縫製の力で、服を未来へつなぐ”。
そんな気持ちで、今日も針と糸は走っています。