“服は、縫わなきゃ始まらない。”
— 縫製の話、ちゃんと向き合ってみる。
いい生地を選んで、
美しいパターンを引いて、
さて、じゃあこれで服ができるかというと――
できません。
最後に“仕立てる”という工程があって、
ようやく布は、ひとつの服としてかたちを整えます。
「縫うだけでしょ?」と言うには、もったいない仕事。
「縫製=ミシンでガーッと縫ってるだけ」と思ってる人、たぶん多い。
でも実際は、素材のクセと会話しながら、
ひと針ごとに“気持ちよさ”を仕込んでいく作業です。
たとえば:
- ガーゼのようなやわらかい生地には、巻き縫いや袋縫いで肌当たりを整える
- カーブの多い箇所は、職人の手の感覚で微調整しながら縫い進める
- 糸の引き具合ひとつで、洗濯後の形も変わってくる
見えないけど、けっこう繊細でかっこいい世界なんです。
いい縫製は、長持ちする。
毎日着る服だからこそ、
“きちんと縫われている”ことはサステナブルの基本です。
- 着崩れにくい
- 洗濯で型くずれしない
- 直してまた着られる
こうした“服の寿命”を延ばす縫製は、大量消費とは真逆のものづくり。
いい服を、長く着るために。
その縫い方ひとつに、未来がかかっていたりします。

職人の手でしかできないこと。
VIRI-DARI DESERTAでは、信頼する国内の縫製職人とともに服づくりをしています。
正直に言うと、海外生産よりコストはかかります。
でも、それでも続けたいのは、技術が、今、継承の危機にあるから。
今の縫製現場には若手が少なく、後継者不足も深刻です。
それでも私たちは、“人の手で縫われた服”の価値を信じています。
- ほんの数ミリのズレを目で読み取る力
- 糸と布の関係性を肌で感じること
- 着たときの重さや肌ざわりまで想像して縫うこと
これらは、機械にはまだできません。
人が縫うことには、“受け継ぐ文化”という側面もあるのです。
縫うということは、続けるということ。
縫い目の裏に、
“積み重ねてきた時間”と“これからも続けたいものづくり”がある。
だから私たちは、縫製を大事にします。
それは、単なる作業じゃなくて、
服づくりの最後にして、もっとも静かな意思表示だから。
きちんと縫われている服は、ちゃんと残っていく。
それって、実は一番サステナブルなことかもしれません。
“縫製の力で、服を未来へつなぐ”。
そんな気持ちで、今日も針と糸は走っています。