SUSTAINABLE TEXTILE MAGAZINE – Vol.05

ストーリー

“土から生まれた布と、工場で生まれた布。”

— 天然繊維と化学繊維、その違いをあらためて考える。

服の素材って、どこから来ていると思いますか?

「コットンです」「リネンです」「ポリエステルです」
そんなふうにサラッと書かれているけれど、
その“ひとことの向こう側”には、まったく違う生まれ方をした素材たちが並んでいます。

土から育つもの。石油から生まれるもの。

たとえばコットンやウール、リネンやシルク
これらはいずれも、土と水、太陽の力と、生き物の営みから生まれてくる素材です。

  • 綿花は、種から芽を出し、太陽の光を浴びて育つ。
  • 羊は季節とともに毛を伸ばし、それを刈り取って使う。
  • 麻は、昔から畑で育てられ、和服の夏の衣にも使われてきた。

どれも、**人間が「つくる」というより、「自然と共に歩んできた素材たち」**です。

一方で、ポリエステルやナイロン、アクリルなどの化学繊維
これらは、石油や天然ガスといった化石資源をもとに、人間が“人工的に合成してつくる”素材です。

大規模な工場で、化学反応と高熱を加えてつくられるそれらの繊維は、
均一で、軽くて、丈夫で、安定している。
まさに「便利で効率的」な現代の答え。

でも――
それって、地球にとっても“都合がいい”のでしょうか?

着るというより、“借りている”という感覚。

天然繊維は、時間がかかります。
天候にも左右されるし、生き物次第でもある。
だから、生産量は限られているし、手間もかかる。

でもそれは、「自然と一緒にものをつくる」という営みそのものでもある。
そして着終わったあとも、土に還る、という終わり方ができる素材でもあります。

一方、化学繊維は、土にはなかなか還りません。
分解に何百年もかかる。燃やせばCO₂や有害ガスも出る。
つまり、“便利に手に入れられるぶん、長く残り続ける”のです。

どちらが良くて、どちらが悪い、という話ではありません。

たとえばスポーツウェアや雨の日のアウターには、ポリエステルの力が必要です。
けれど、肌に近い服、長く使いたい布、自然と寄り添いたい暮らしには、
土から生まれた素材が、やっぱりしっくりくる。

服を選ぶときに、
「その布がどこから来たのか」
そして、
「最後にどこへ向かうのか」
を、ちょっとだけ想像してみてください。

VIRI-DARI DESERTAが、素材にこだわる理由。

“天然だからいい”“化学だからだめ”——
そんなふうに単純には分けられないと、私たちは思っています。

大切なのは、どんな素材を、どんな姿勢で選ぶかということ。

たとえば天然繊維には、自然のリズムに寄り添うあたたかさがある。
一方で再生ポリエステルのように、いまある資源を循環させるという考え方も、とても力強い。

「この素材が、これからの暮らしにどう寄り添えるか」
そうやって、素材と対話しながら服をつくっていく。
それが、私たちVIRI-DARI DESERTAのつくり方です。